「だけど、もう忘れて欲しいんだよ」
宏美は言った。
「もうさ、“宍戸宏美”はいないんだよ。
俺はもう“この世”にいない人間なんだよ」
そう言った宏美の横顔はとても苦しそうで、馬の胸が痛くなった。
「俺は女だ、名前は“日出ミヒロ”だ。
“宍戸宏美”とは関係ない」
苦しそうに息を吐いた宏美のその姿を馬は見つめることしかできなかった。
ガチャッとドアが開いたので、宏美と馬はそちらの方に視線を向けた。
そこから出てきたのは、『レインボーズ』のドラマーの大山だった。
「あっ、どうも…」
ペコリと小さく会釈をした宏美に、
「ああ、どうも」
大山も会釈を返したのだった。
「えっと、お邪魔だったかな?」
宏美と馬の間に流れている空気を察したと言うように、大山が聞いてきた。
宏美は言った。
「もうさ、“宍戸宏美”はいないんだよ。
俺はもう“この世”にいない人間なんだよ」
そう言った宏美の横顔はとても苦しそうで、馬の胸が痛くなった。
「俺は女だ、名前は“日出ミヒロ”だ。
“宍戸宏美”とは関係ない」
苦しそうに息を吐いた宏美のその姿を馬は見つめることしかできなかった。
ガチャッとドアが開いたので、宏美と馬はそちらの方に視線を向けた。
そこから出てきたのは、『レインボーズ』のドラマーの大山だった。
「あっ、どうも…」
ペコリと小さく会釈をした宏美に、
「ああ、どうも」
大山も会釈を返したのだった。
「えっと、お邪魔だったかな?」
宏美と馬の間に流れている空気を察したと言うように、大山が聞いてきた。