そんな彼女に、
「――失礼しました!」

宏美は頭を下げると、その場から走り去った。

「あっ、おい!」

馬は腰をあげて宏美の後を追う前に、
「あの…ごめんね!」

心美に謝ると、彼女の後を追った。

「…今の誰?」

2人の後ろ姿はもう見えなくなってしまったが、心美はそこに立ちすくんでいた。

裏口のドアを開けると、宏美はその場に座り込んだ。

「おい、大丈夫か?」

すぐに馬がきて、宏美の隣に腰を下ろした。

「大丈夫な訳がないだろ、ドラマのヒール役も真っ青なことを言ったんだぞ」

宏美は馬に言い返した。

「まあ、彼女からして見たら第3者が勝手に語るなって言う話だよな」

馬はやれやれと息を吐いた。