「――宍戸さんから離れることも、彼のためになるんじゃないですか?」

心美が驚いたと言うように、目を見開いた。

「そうやっていつまでも依存してたら、宍戸さんも成仏をしたくても成仏できないですよ。

宍戸さんから離れて、宍戸さんを忘れて…」

「あなたに何がわかるって言うの!?」

心美に怒鳴られ、宏美はビクッと躰を震わせた。

「勝手に入ってきて、宏美の場所を奪ったあなたに、宏美を語らないで!

宏美のことを何も知らないくせに、宏美が言っているみたいに言わないでよ!」

「知らないくせにって、あたしは…!」

そこまで言ったところで宏美は両手で隠すようにして口をおおった。

(あ、危なかった…)

宏美は鼻で大きく深呼吸をした。

心美が訳がわからないと言うように、宏美を見つめている。