その頃。

「イテテ、ヒールが高過ぎるにも程があるんじゃないか?」

日出ミヒロこと宍戸宏美はベンチに座ると、履いていたサンダルを脱いだ。

「高過ぎるって言っても、たった3センチだぞ」

そう言ったのは馬である。

「マジでないわ、先が細すぎるにも程があるだろ」

宏美は馬の前に履いていたサンダルを見せた。

3センチほどのヒールがある黒のピース付きのサンダルだ。

「最悪、靴ずれができてる…」

足の裏にできてしまった靴ずれに、宏美は息を吐いた。

「はい、ばんそうこう」

馬がばんそうこうを差し出したので、宏美はそれを受け取った。

足の裏にできた靴ずれにばんそうこうを貼ると、宏美は脚を伸ばした。

「女って本当に大変だな…」

そう呟くと、宏美は息を吐いた。