「はい、ひ…」

危うく、自分の名前を言ってしまうところだった。

――生前と逆の性別で生きること、周囲に自分の正体を隠すこと――これが“復活”の条件や

神様と交わした約束が宏美の頭の中でよみがえった。

(そうだ、俺――“宍戸宏美”は、もう“この世”にいない人物なんだ…)

そのことを宏美は思い出した。

「ひ?」

武藤が首を傾げた。

「――ひ、日出…」

頭をフル回転させてとっさに出てきた言葉がこれだった。

「ひいづる?

変わった名前だね」

卓真は珍しそうに言った。

「いえ…えっと、“日出”は名字です」

宏美はそう答えると、さらに頭を回転させた。

そして、
「――ミヒロです」

宏美は名前を言った。