その頃、宏美は大きな川の前に立っていた。

「ここが俗に言う“三途の川”と言うヤツか…」

宏美は目の前の橋に視線を向けた。

この橋を渡れば、自分は“あの世”に行くことになる。

もう2度と“この世”には戻ることはできない。

宏美は深呼吸をすると、橋を渡ろうとした。

その時だった。

「ちょっと待ったー!」

大きな声が聞こえたので、宏美は足を止めた。

何事かと思いながらキョロキョロと首を動かしていたら、
「そこの人、待った待った!」

上から声が聞こえたので、そちらの方に視線を向けた。

「うえっ!?」

そこにいたのは、白い服を着た3人の男たちだった。

背中には白い大きな羽、頭には輪っかのようなものが乗っていた。

「て、天使…?」

(何か俺が思っていたイメージと全然違う…)

ポカーンと口を開けている宏美の前に、彼らは降り立ったのだった。