宗助はカバンからファイルを取り出すと、そこから1枚の紙を取り出して宏美に渡した。

そこに書いてあったのは、『FEET』が今までに練習して実際に演奏したアーティストのコピー曲の数々だった。

「この中で歌える曲はあるか?

その中から今日の演目を決めるから」

そう言った宗助に、
「わかりました、すぐに決めます」

宏美は返事をした。

「あっ、そうだ」

宗助が思い出したと言うように言った。

「まだ君の名前を聞いていなかったな」

そう言った宗助に、卓真と武藤も思い出したと言う顔をした。

「あっ…」

宏美も名前を聞かれていなかったことを思い出した。

(そうだ、そうだったな…)

肝心なそれに宏美は心の中で呟いた。

「君の名前は?」

宗助が宏美に聞いた。