頭を下げたのと同時に、サラリと背中から長い髪が落ちた。

(邪魔だ…)

宏美は心の中で呟くと、頭をあげた。

「歌もできます、楽器もできます、ギターを弾けます。

十八番は椎名林檎の『真夜中は純潔』です」

決めかねている様子の彼らに向かって、宏美は自身のセールスポイントを言った。

「――いいんじゃないか?」

そう言ったのは武藤だった。

「彼女、すごく熱心だよ。

なかなかの美人だし、メンバーに入れてもいいんじゃない?

と言うか、華が欲しい」

武藤は宗助に言った。

「華って…」

宗助は呆れたと言うように呟いた。

「男3人って、結構むさ苦しいんだもーん。

サポートに女の子が1人いるとは言え、華がないにも程があるよー」

武藤は駄々っ子のように宗助に向かって言った。