「えっ、俺?」

思わず聞き返した宏美に、
「そこは“私”か“あたし”と言え。

君はもう女なんだから、“俺”はないぞ」

馬が言い返した。

「女でも“俺”とか“僕”って言ってるヤツはいるぞ」

「マンガかアニメ限定で、だろ?」

宏美は言い返すのをやめた。

「じゃあ、“あたし”と言えばいいんですか?」

そう聞いた宏美に、
「その方がいろいろと好都合だからな」

馬が答えた。

(バレるリスクを考えたら好都合ってことか?)

宏美は心の中で呟いた。

その時だった。

「『FEET』のメンバー、どうするんだろうな?」

その声が自分と馬の間に入ってきた。

宏美は気になって、声のした方向に忍び足で歩み寄った。