「宗助さん」

次に目があったのは、宗助だった。

「いつも生意気ばっか言ってて悪かった。

あんたが書く歌詞も作る曲も、俺は好きだった。

わがままばっかの俺にいつもつきあってくれて、ありがとう」

「…それさ、生きてる時に言えよ。

でも、ありがとう」

宗助はお礼を言うと、洟をすすった。

「卓真さん」

宏美はうつむいている卓真を呼んだ。

名前を呼ばれた卓真は答えるように顔をあげた。

「…何だよ」

その目は赤かったうえに潤んでいた。

「ありがとう」

宏美はお礼を言った。

「俺と仲良くしてくれたことやレポートを手伝ってくれたこと、ジュースや飯を奢ってくれたこと…他にもいろいろとあるけど、ありがとう」

「俺の方こそ、ありがとうだよ」

卓真は泣きながら笑って言い返したのだった。