「幸せにするって約束したのに、一緒にいるって誓ったのに、ごめん…」

宏美は謝った。

「心美よりも先に死んで、ごめん…」

「――宏美…」

名前を呼んだ心美に答えるように、宏美は彼女の顔を覗き込んだ。

「ミヒロの姿で言ったと思うけど…俺、心美が幸せになって欲しいんだ」

自分を見つめているその目は潤んでいた。

「心美のことを愛してるから、幸せになって欲しい」

「――宏美…」

宏美は微笑むと、心美の頬に自分の手を当てた。

「俺のわがままだって言うのは、俺が1番よくわかってる。

だから…」

宏美はそこで言葉を区切ると、
「最後の俺のわがままを受け入れて、幸せになってくれ」
と、言った。

「宏美…」

名前を呼んだ心美に宏美は優しく微笑むと、その顔を近づけてきた。