心美は愛しいその声に視線を向けた。

そこにいたのは、
「――宏美、なの…?」

宏美だった。

会いたくて会いたくて仕方がなかったその人に、心美の目から涙がこぼれ落ちた。

「ああ、俺だよ」

宏美はそう言って、優しく微笑んだ。

「――宏美…!」

心美は彼の元へと駆け寄った。

宏美は両手を広げて、彼女を迎え入れる準備をした。

「――宏美…!」

心美が胸の中に飛び込んできた。

「――心美…」

宏美は呟くように名前を呼ぶと、心美を抱きしめた。

目の前にある懐かしい彼の温もりを、心美は閉じ込めるように彼の背中に自分の両手を回した。

「――ごめんな…」

震えているその声で、宏美が謝った。