「――宏美…?」

華奢なその躰は、ゆっくりと自分の方へと倒れてきた。

「宏美!?」

心美は倒れてきた躰を支えると、その顔を見た。

「えっ、何?」

「どうしたの?」

「おい、大丈夫か?」

その様子に周りがザワザワとし始める。

「宏美…?」

名前を呼ぶけれど、返事が返ってくることはなかった。

端正に整ったその顔は眠っているかのように目を閉じていた。

その姿は、まるで一流の職人が丹精を込めて作った人形のようだと心美は思った。

「宏美?

ねえ、宏美ってば!」

華奢な肩を揺すって目を覚まさせようとするけれど、その目は開かなかった。

「ひろ、み…?」

彼女――いや、彼の身に何が起こったのか全く理解ができなかった。