青木と警察官たちはハッと我に返ると、
「よし、確保!」
と、痛みのあまり動かない借金取りたちの腕をつかんだ。

カシャンと、彼らの手首に手錠がかけられた。

「詐欺と脅迫の容疑で逮捕します」

青木が罪状を言った。

「おい、立て」

手錠をかけた借金取りたちを立たせると、
「ご協力、ありがとうございました」

警察官は敬礼をした。

「ほら、行くぞ」

作戦が失敗してふてくされている借金取りたちを促すと、警察官はその場から立ち去ったのだった。

青木の視線が座り込んでいる順子の方に向けられた。

「――順子…」

大山は彼女の名前を呼ぶと、隣に腰を下ろした。

その顔はとても苦しそうだったうえに、切なかった。

それを見ていた宏美の胸がチクリ…と痛んだ。