「だけど、条件が1つだけあるんだ」

小祝は島田に言った。

「まあ、お前が会社を継ぐんだったら何でも聞こう」

それに対し、島田は返事をした。

「彼女の借金を全額返して欲しいんだ」

小祝は順子を指差すと、そう言った。

「小祝さん…!」

大山は驚いたと言うように目を見開き、潤子は戸惑った。

(早い話が自分を犠牲にするって言うことなのか…?)

小祝の行動に、ミヒロはどうすればいいのかわからなかった。

「借金は500万もあるそうだ。

それを全額肩代わりする代わりに、俺は親父の会社を継ぐ。

共に苦楽を共にして、励ましあった仲間を放って置きたくないんだ!」

躰を2つ折りにして頭を下げた小祝に、
「まあ、いいだろう」

島田は返事すると、スーツのポケットに手を入れた。

「――ごめんなさい!」

順子がそう言って、小祝に土下座をした。