ミヒロが歌い始める。

低いけれども澄んでいるその声は、シン…と心美の胸の中に入って行った。

(すごいな、本当に才能があるな)

歌っているミヒロを見ながら、心美は思った。

正直なことを言うと、もったいなかった。

容姿もよくて、歌声もこんなにも才能があると言うのに、バンドの中だけで閉じ込めるのはあまりにもかわいそうなのではないかと思った。

ミヒロ自身が望んだこととは言え、彼女は世間に羽ばたくことができるんじゃないかと思う。

その才能を簡単に世に広めることができるのでは…と、心美はミヒロを見ながら思っていた。

そう思っていたら、
「――えっ…?」

何故だかよくわからないが、ミヒロが誰かとよく似ていることに心美は気づいた。