「――あっ…」

涙が次から次へとこぼれ落ちる。

「――どうして…!

どうして、あの子が…!」

宏美の母親は声をあげて泣き出した。

それは、心美も一緒だった。

(幸せにするって言ったじゃない…!

ずっと愛し続けるって、そう言ったじゃない…!

私をお嫁さんにするって、言ったじゃない…!)

声をあげて泣き叫びたかった。

なのに…それができない、ただ目から涙がこぼれ落ちるだけである。

「――宏美…」

心美は空を見あげた。

(――どうして、空はこんなにも青いのだろう…?)

雲が見当たらない晴れ渡った青い空に、心美はこれが事実なんだと言うことを理解せざるを得なかった。

宍戸宏美は、この世からいなくなった。

自分を残して、この世から消えた。

 * * *