神様が目の前からいなくなった瞬間、宏美は首を動かして自分が今いる場所の確認をした。

「――ここ、俺の家だ…」

自分が今いる場所を理解すると、宏美は理解した。

そこは、1人暮らしをしているワンルームの我が家だった。

ベッドとテレビ、リサイクルショップで買ってきたローテーブルにクローゼットが置いてるその部屋の真ん中に宏美は立っていた。

宏美は振り返ると、後ろの鏡を見つめた。

「これが俺なんだ…」

鏡に映っている端正な顔立ちをしている女を見ながら、宏美は呟いた。

そこから目をそらすと、宏美は部屋を見回した。

ふと、あるものが宏美の視界に入った。

クローゼットの前に立てかけられていたのは、ギターケースだった。