「――えっ…?」

たった今聞かされたその事実に、心美はスマートフォンを落としそうになった。

本日の講義が無事に終わって自宅に帰ろうとした時、カバンの中に入っていたスマートフォンが鳴った。

宏美の母親からの着信だった。

「もしもし?」

指で画面をタップして電話に出たら、
「――心美ちゃん…!」

宏美の母親は泣いていた。

「あの、どうしたんですか?」

心美がそう聞いたら、
「――宏美が…宏美が…!」

彼女の声は泣いているせいで震えていたうえに、言うことができなかった。

「宏美が、どうかしたんですか?」

訳がわからなくて心美が聞き返したら、
「――宏美が…交通事故に遭って…!」

宏美の母親が言った。