ビーズの指輪を通し終えると、
「心美」

宏美が名前を呼んだ。

心美は紫色のビーズの指輪を手に取った。

差し出してきた宏美の左手の薬指に、心美はビーズの指輪を通した。

華奢なその指に通し終えると、
「うん、ぴったりだ」

宏美は満足そうに首を縦に振ってうなずいた。

「なあ、心美」

宏美が名前を呼んだので、心美は返事をした。

「俺たちが20歳になったら、結婚しないか?」

そう言った宏美に、
「いいの…?」

心美は聞いた。

「本当は、今すぐにでも結婚したいと思ってる。

心美を俺の妻にしたいって思ってる」

そう言った宏美に、心美の目から涙がこぼれ落ちた。

「私、宏美のお嫁さんになりたい…!」

泣きながら言った心美を宏美は抱きしめた。