箱の中には、ビーズの指輪が2つ並んでいた。

「紫色のが宏美で、ピンクは私のなんだ」

心美はそう言った後で、照れくさそうに笑った。

「ありがとう、心美」

宏美はお礼を言うと、
「早速だけど、はめてみてもいい?」
と、聞いてきた。

「うん、いいよ」

心美が返事をしたことを確認すると、宏美はピンク色のビーズの指輪を手に取った。

「えっ?」

何故かピンク色の方を取ったことに、心美は訳がわからなかった。

(もしかして、ピンクの方がよかったのかな…?)

そう思っていたら、
「左手、出して」

宏美に言われたので、心美は彼の前に自分の左手を出した。

宏美は薬指に、ビーズの指輪を通した。

「えっ…!?」

(これって、結婚式みたいなんだけど…!?)

宏美の行動に心美は驚いたが、嬉しさの方が大きかった。