「あっ、財布だ!」

箱の中身は財布だった。

「この前、新しい財布が欲しいって言ってただろ?」

「よく覚えてたね」

何気なく言ったその一言を宏美が覚えていたことに、心美は嬉しくなった。

「心美からは?」

そう聞いてきた宏美に、
「私は、手作りのものなんだけどね…」

心美はそう言うと、小箱を開けた。

中身を覗き込んだ宏美は、驚いたと言うように心美の顔を見た。

「ちょっと気が早かったかな…?」

エヘヘと笑った心美に、
「いや、早くないよ」

宏美は箱の中身を見つめた。

「指輪、作ってみたんだ。

本当はちゃんとしたお店でサイズを図ってもらって買うのがいいんだろうけど…宏美、金属アレルギーでしょ?

だから、作ってみたの」

心美は言った。