「おばさんは…?」

そう聞いた心美に、
「私は、毎日きてる」
と、宏美の母親は答えた。

「そうですか…」

呟くように返事をした心美に、
「もしかしたら、宏美は死んでいないんじゃないのかなって思う時があるの」

宏美の母親が言った。

「えっ?」

心美は聞き返した。

「あの子が死んだのは何かの間違いじゃないか悪い夢なんじゃないかって、そう思う時があるの…」

宏美の母親は洟をすすった。

「おばさん…」

(私もそう思う時があるよ…。

夢じゃないかって、間違いじゃないかって…)

心美は彼女に向かって声をかけたかった。

(忘れるなんて無理だよ…。

離れるなんて無理だよ…)

先ほどまであんなに泣いたのに、心美はまた泣きたくなった。