宏美が眠っている墓石の前を後にすると、
「あら、心美ちゃん」

声をかけられたので、心美は視線を向けた。

「――おばさん…」

そこにいたのは、宏美の母親だった。

「お久しぶりです…」

ペコリと会釈をするように頭を下げた心美に、
「久しぶり、心美ちゃん」

宏美の母親も会釈をするように頭を下げた。

こうして彼女と会ったのは、宏美の葬式以来だった。

「宏美に会ってきたの?」

そう聞いてきた宏美の母親に、
「はい、宏美と話をしました」

心美は返事をした。

「そうなの…」

宏美の母親は返事をすると、
「毎日きているの?」
と、聞いてきた。

「いえ、月命日だけきています」

心美は彼女の質問に答えた。