だけども、
(私が宏美の代わりに刺されれば、宏美はこんなにも痛い思いをしなくて済んだんだ…)

心美は申し訳ないと言う気持ちで胸がいっぱいだった。

「――ごめんね…」

その気持ちを告げるように、心美は宏美に謝った。

「何が?」

そう聞き返してきた宏美に、
「清水さんに刺されたのは、私のせいだったんでしょう?

私がそばにいたから、宏美は清水さんに刺されたんでしょう…?」

心美は答えた。

「違う、清水のヤツは勝手に心美を逆恨みしただけだ。

心美は悪くない」

宏美はそう言ったら、
「でも、宏美はケガをしたじゃない…。

あの時、私が清水さんに刺されれば…宏美は…」

彼の優しさが痛くて、心美の目から涙がこぼれ落ちた。