幸いにも刺された傷は、相手が女だったことと学生服を着ていたことから浅かったうえに命に別条はなかった。

事件の2日後に宏美は目を覚ました。

「――心美…?」

病室のドアを開けたら宏美は目を覚ましていて、自分の名前を呼んだ。

「――宏美…?」

彼が目を覚ましたことが嬉しかった。

「宏美、起きたの…?」

そう聞いたら、
「ああ、たった今…」

宏美は答えた。

それから医師と看護師を呼んで、宏美に簡単な検査と傷の具合を見てもらった。

彼らが病室から立ち去ったら、心美は宏美と2人きりになった。

今日は土曜日だから、学校が休みだ。

心美はベッドの隣に置いてあるパイプ椅子に腰を下ろした。

(よかった…)

彼の元気な様子に、心美はホッとした。