清水はカッターナイフを手に持ったままの状態で、パニックに陥っていた。

(宏美は死んじゃうの!?

嫌だ、そんなの嫌だ!

死んじゃダメ!

お願いだから、死なないで!)

心美の目から涙がこぼれ落ちた。

見回りの教師が自分たちのところにきて、何事かと言うように周りも集まってきた。

「宏美!」

心美はハンカチを取り出すと、宏美の肩を流れている血を止めようとした。

「宏美!」

(死なないで!)

心美は何度も宏美の名前を呼んで、ハンカチを肩に当てて血を止めた。

「ケガ人はどちらですか!?」

救急車から降りてやってきた隊員の声に、
「こっちです!

ここです!

早くしてください!」

心美は叫んで呼んだのだった。