自分の正体を隠すって、どう言うことなんだ?

宏美は訳がわからなかった。

「“宍戸宏美”と名乗ってはいけない、と言うことですか?」

そう聞いた宏美に、
「ああ、そうや。

“宍戸宏美”は、もう“この世”にいない人間なんや。

いなくなった人間がそこにおったら、周りはビックリしてまうやろ?」

神様が答えた。

「…そうですね」

宏美が呟くように返事をしたら、
「せやから、何があっても周囲の人間に自分の正体をバラしたらあかんで」

神様は言い返した。

「もし…もし、俺が“宍戸宏美”だと言うことが周りの人間にバレたら、俺はどうなるんですか?」

宏美が質問をしたら、
「その瞬間、お前の魂は地獄に連れて行かれる。

そこでお前は永遠の苦しみを味わうことになる」

神様は重く、その質問に答えたのだった。