その日の放課後は、写真部の活動が休みの日だった。

宏美も軽音楽部の活動が休みだそうなので、一緒に帰ることになった。

清水に呼ばれた宏美が戻ってくるまで、心美は教室で待っていた。

携帯電話をいじったり、持ってきたマンガを読んだりしながら待っていたら、
「悪いな」

宏美が戻ってきた。

「いいの、気にしないで」

心美はそう言うと、宏美のカバンを彼に渡した。

彼と一緒に教室の戸締りをして、職員室に足を向かわせて鍵を返した。

それから下駄箱で靴を履き替えて校舎を後にしようとしたら、宏美は足を止めた。

心美は訳がわからなくて宏美と同じ方向に視線を向けると、そこに清水がいることに気づいた。

(えっ、また?)

もういい加減にあきらめればいいのに…と、心美は呆れた。