(このまま、宏美とは幼なじみの関係のままでいいのかも知れない…)

心美は思っていた。

もし自分が彼に気持ちを伝えたら、幼なじみだったこの関係はどうなってしまうのだろうか?

本当は宏美の恋人になって、彼の隣にいたいと思っている。

だけども…果たして、宏美はそのような関係になることを望んでいるのだろうか?

(もし宏美が“嫌だ”って言ったら、私は立ち直れないかも知れない…)

心の中で呟くと、心美は隣にいる精悍な顔立ちをした彼にチラリと視線を向けた。

鈍い宏美は、自分の気持ちに気づいていない。

そんな彼の性格をよかったと思う反面、この気持ちに気づいて欲しいと思っている自分がいた。

(宏美、私はあなたのことが好きだよ。

幼なじみとしてじゃなくて、男として、あなたが好きだよ)

精悍なその横顔に向かって、心美は呟いた。