『宍戸家之墓』

この中で宏美は眠っている。

「――宏美、またきたよ」

心美は墓石に向かって呟くように言うと、線香をあげた。

今日は宏美の月命日である。

「――もう2ヶ月だね」

心美は呟いて、フッと笑った。

「四条さんも玉井さんも武藤さんもすずちゃんも…みんな、元気にやってるよ。

それからね、宏美の後に新しく入ってきたメンバーがいたの。

すっごく美人で、歌が上手で…」

――宍戸さんから離れることも、彼のためになるんじゃないですか?

墓石に向かって話を続けている心美をさえぎるように、頭の中でいつか言われたミヒロの言葉がよみがえった。

――そうやっていつまでも依存してたら、宍戸さんも成仏をしたくても成仏できないですよ

ポロッと、心美の目から涙がこぼれ落ちた。