「かわいくないヤツやなあ。

せっかく、べっぴんさんを選んで魂を入れてやったのに…」

神様はケッと毒づいた。

「はいはい、それはそれはすみませんでした。

でも中身は男だから仕方ないことだと思いますよー」

宏美もバカにするように言い返した。

「まあ、宝塚の男役スターやと思えばそれはそれでええか…」

「何を言ってんだ」

宏美は呆れたと言うように息を吐いた。

「それで、もう1つの条件は?」

そう聞いた宏美を神様はまた見つめてきた。

「周囲の人間に自分の正体を隠すこと――それが、もう1つの条件や」

神様が唇を開いたかと思ったら、音を発した。

「…はい?」

その意味がよくわからなくて、宏美は思わず聞き返した。