「ま、まさか…」

心美は両手に頬を当てた。

顔が熱い。

クーラーが効いていない密室にいるからだろうか?

それは、違う。

「私…」

(私は、宏美のことが好きなんだ…)

そう呟いたら、心美は自分の顔がさらに熱くなったのを感じた。

(幼なじみだったのに…。

いつもそばにいたのに、私は宏美を好きになったんだ…。

宏美を男として、意識したんだ…)

気づいてしまった自分の気持ちを抱きしめるように、心美は両手を胸の辺りに下ろした。

「――宏美が好きなんだ…」

心美は呟いた。

だけど、宏美は自分のことをどう思っているのだろうか?

(鈍いところがあるからなあ…)

そんなことを呟きながら、心美は気づいた自分の気持ちを大切にしようと思った。

 * * *