宏美の両親は共働きのため、家には彼しかいなかった。

2階にある宏美の部屋に行くために、心美は彼と一緒に階段をのぼった。

(また背が伸びたような気がする…)

階段をのぼっている宏美の背中を見ながら、心美は思った。

「どうぞ」

宏美が自室のドアを開けて、心美に入るようにと促してきた。

「お邪魔します」

心美はそう言うと、宏美の自室に足を踏み入れた。

「あれ?」

ベッドのうえに置いてあったそれに、心美は気づいた。

「ああ、あれか」

心美の様子に宏美はベッドのうえに置いてあるアコースティックギターを持ちあげた。

「買ったの?」

そう聞いてきた心美に、
「譲ってもらった」

宏美は答えた。