「そうか」

宏美はフッと口元をゆるめて笑った。

ドキッ…

それに対して、心美の心臓が鳴ったことに気づいた。

宏美の笑った顔は、今までにも何回か見たことがあったはずだ。

だけども…精悍な顔立ちを崩したその顔に、心美の心臓は鳴ってしまった。

「何かあったら、ちゃんと言えよ?

俺があいつらに向かってちゃんと言ってやるから」

頼もしいそのセリフに、心美はドキドキと心臓が動いていることに気づいた。

「う、うん…ありがとう…」

まるで呟いているようなその声は、宏美の耳にちゃんと入っただろうか?

「よし、いいな」

宏美は返事をした。

ちゃんと入っていたみたいだ。

幼なじみだったはずだった。

子供の頃からずっと一緒にいたはずだった。