心美は隣を歩いている宏美に視線を向けた。

(宏美って、こんな顔をしてたっけ…?)

よく女の子に間違われていたその顔が精悍になっていることに、心美は気づいた。

(そう言えば、少しだけ身長が伸びたような…?)

自分より低かったはずなのに、今は自分と同じくらいの身長になっていることに気づいた。

「どうした?」

宏美が聞いてきた。

「えっ…?」

「さっきから俺のことをジロジロと見てるから、何かあったのかって」

そう言った宏美に、
「べ、別に…」

心美は首を横に振って返事をした。

「金澤と志村に何か言われたのか?」

金澤はレイラ、志村はリリの名字である。

「何にも言われてないよ…」

それに対しても、心美は首を横に振って返事をした。