「あたしは塩顔っぽい人がいいんだよね。

宍戸くん、どっちかって言うと顔立ちが濃い方じゃない?

端正とか精悍みたいな、そんな感じかな」

リリはエヘヘと苦笑いをした。

「何だ、そうなんだ…」

彼女たちが宏美を恋愛対象に入れていないことに、心美はホッとして胸をなで下ろした。

(私、何で安心しているんだろう…?)

心美は自分のことなのに、自分の気持ちがわからないことに気づいた。

彼女たちと一緒に後かたづけを終えると、心美は下駄箱で待っている宏美のところへと足を向かわせた。

「遅い」

そう言った宏美に、
「ごめん、なかなか終わらなくて」

心美はエヘヘと笑いながら謝った。

心美が靴を履き替えたことを確認すると、宏美と一緒に校舎を後にした。