1学期の終わりだったか2学期の始めだったかは忘れてしまったが、暑かったと言うことだけは覚えている。

吹奏楽部の活動を終えて、同級生たちと一緒に後かたづけをしていた時だった。

「宍戸くん、かっこよくない?」

そう言ったのは、フルートを担当しているレイラだった。

ポニーテールがトレードマークの彼女は、心美の隣のクラスの生徒である。

彼女の口から宏美の名前が出てきたことに、心美はピタリと後かたづけをしていた手を止めた。

「ああ、あたしもそう思った」

レイラに同意したのは、ボブヘアーのリリである。

「ドラムをたたいている時の横顔とかさ、なかなかよくない?」

「確かに、あれはいいよねー」

楽しそうに談笑をしているレイラとリリだが、心美は自分の胸がチクリと痛んだことに気づいた。