左手の薬指に視線を向けると、宏美のために作ったおそろいのビーズの指輪があった。

風呂に入る時と寝る時以外は外しているけれど、それはもうすっかりと自分の躰の一部と化していた。

「どうして、いなくなっちゃったの…?」

心美は呟いた。

「どうして、私を置いていなくなっちゃったの…?」

心美の目から、涙がこぼれ落ちた。

「――1人にしないって、言ったくせに…」

頬を伝っている涙は、ポタリと開いているアルバムのうえに落ちた。

「――幸せになろうねって、約束したくせに…」

涙がアルバムを汚して行く。

宏美の顔にも、自分の顔にも、涙はポタポタと落ちて、汚して行く。

「――先にいなくなるなんて、ひどいよ…」

心美は両手で隠すようにして、顔をおおった。