自分の部屋で、心美はアルバムを見ていた。

「この当時の宏美は、女の子みたいだったな」

幼い頃の宏美と自分との写真が載っているアルバムを見ながら、心美は呟いた。

まだ幼かった宏美は自分よりも背が低く、顔立ちも相まってか、周りからよく女の子と間違われていた。

「それが成長したら…」

心美は机のうえに置いてある写真立てに視線を向けた。

去年の夏にデートで出かけた花火大会で撮った宏美と自分の写真があった。

身長は心美を追い越して、顔立ちが精悍になった宏美のその姿に、心美はクスリと笑った。

「宏美…」

心美は、写真立ての中にいる宏美の名前を呼んだ。

その中にいる彼は当たり前だけど、返事をしてくれなかった。