ビーズの指輪だった。

紫のスワロと紫のキャッツビーズを使って作られたそれは、レースのようにかわいらしいデザインをしていた。

金属アレルギーでアクセサリーを身につけることができない自分のために、彼女が作ったものである。

ほぼ毎日、肌身離さず身につけていると言うことも手伝ってか、指輪は躰の一部になっていると言っても過言ではなかった。

右手の指でそれに伸ばしたら、
「なかなかのべっぴんさんになったやろ?」

後ろから声が聞こえたので、宏美は振り返った。

「あっ、貧乏神」

そこにいた神様に思わず返事をしたら、
「誰が貧乏神や!」

見事にツッコミを入れられたのだった。

先ほどまでいた天使たちはここにいないようだった。