「しかし、親父さんもなかなかやるよなあ。

家出した息子を探し出して婚約者父娘と一緒に押しかけて連れ戻そうとするなんて、なかなか根性があるよなあ」

そう言ったモアイ像に、
「小祝さん曰く、会社のことしか考えていないって言うことなんだと思う」

宏美は言い返した。

「まあ、気持ちはわからなくもないけど…。

でも、息子の夢ならば応援してあげるのが父親なんじゃないか?

例えば、親戚の子供を自分の養子にして会社を継がせたりとか」

「まあ、親戚がいるのかどうかも怪しいけどな」

「いないのか?」

「さあな」

宏美は返事をすると、やれやれと言うように息を吐いた。

「それで、口説かれてどうするんだ?

きのこ頭の気持ちに答えるのか?」

モアイ像が聞いてきた。