「はっ…?」

(ほ、本気だと…?)

自分の聞き間違いであることを宏美は心の底から祈った。

「俺、本気でミヒロちゃんが好きだよ」

小祝が言った。

くらりと、宏美はめまいを感じた。

「まあ、30過ぎたおっさんが何を言っているんだとは思うけど…俺は本気だからね?」

今度こそ、宏美は笑うことができなかった。

「もしかして、好きな人がいたりする?」

そう聞いてきた小祝に、
「もし…もし“いる”って答えた場合、どうするんですか?」

宏美は聞き返した。

「俺に脈があるんだと思って、ミヒロちゃんを振り向かせるように頑張る」

小祝は宏美の質問に答えた。

「ど、どうしてですか?」

思わず聞き返した宏美に、
「つきあっているって言う訳じゃないんでしょ?」

小祝は答えたのだった。