「その跡継ぎの器が次男である俺に回ってきた。

親父は俺に会社を継がせようと本当に必死で、それこそ小さい頃からいろいろと制限されてた。

友達づきあいとか門限とか食べ物とかとにかくいろいろと口を出しては制限をして、習い事もいろいろとさせられた。

習字だ学習塾だ水泳だ体操だそろばんだ…遊びたい盛りの子供だった俺を跡継ぎにさせようと、親父はいろいろと習い事をさせた。

子供の頃に公園で遊んだり、友達の家に行き来していたなんて言う思い出は1つもなかったな」

その頃のことを思い出したのか、小祝は指で目頭を押さえた。

「他の子みたいに泥んこになって暗くなるまで遊びたかったよ…。

友達の家に行って、くだらない話をしながら出されたお菓子を食べたかったな…」

そう呟いている小祝の横顔を宏美は耳を傾けて聞いていた。