その日、ミヒロは『ブルーグラス』で小祝と一緒に手伝いをしていた。

「ミヒロちゃん、大丈夫?」

古くなった機材をゴミ捨て場に向かって運んでいるミヒロに、同じく機材を運んでいる小祝が声をかけてきた。

「はい、大丈夫です」

そう答えたミヒロに、
「重そうだったら、俺が代わりに持ってあげるから」

小祝は笑いながら言うと、ミヒロと一緒にゴミ捨て場へと足を向かわせた。

「よっこいしょ」

ゴミ捨て場に機材を置いた。

「いやー、終わった終わった」

「終わりましたね」

ミヒロは両腕を上にあげて伸びをした。

「もう残っている機材は特にないんだよな?」

そう聞いてきた小祝に、
「あたしが見た限りではもうないんじゃないかなと思います」

ミヒロは答えた。