そんな彼女の様子に、
「…悪い」

今度は宏美が謝る番だった。

「…そうだよね、ごめんなさい」

心美は呟くように、自分の発言を謝った。

「…謝って欲しい訳じゃないんだよ」

宏美は言った。

「俺は…心美がいなくなるのが怖いから、言っているだけ」

そう言った宏美に、
「それ、どう言う意味なの?」

心美が驚いたように聞き返した。

「えっ?」

宏美も思わず聞き返したが、すぐに今の自分の発言を振り返った。

(…確かに、聞きたくなるかもな)

だけども、発言を撤回しよう言う気持ちはなかった。

(場所があれだけど…もういい、仕方ない)

宏美は開き直ることを選んだ。

「――心美が好きなんだ」