「――ごめんね…」

その沈黙を破ったのは、心美だった。

「何が?」

謝られた理由がわからなくて、宏美は聞き返した。

「清水さんに刺されたのは、私のせいだったんでしょう?

私がそばにいたから、宏美は清水さんに刺されたんでしょう…?」

心美は言った。

「違う、清水のヤツは勝手に心美を逆恨みしただけだ。

心美は悪くない」

宏美は言い返した。

「でも、宏美はケガをしたじゃない…。

あの時、私が清水さんに刺されれば…宏美は…」

こぼれ落ちる涙をぬぐっている心美に、
「バカ!」

宏美は言った。

「自分が刺されれば…なんて、そんなことはジョーダンでも言うな!」

強い口調で言った宏美に、心美は戸惑っていた。