* * *

宏美は目を開けた。

視界に入ったのは、真っ白な天井だった。

(――俺、死ななかったんだ…)

宏美はそう思った。

真っ白なベッドのうえで、宏美は横になっていた。

あの後、自分は救急車に乗って病院へと運ばれたらしい。

そんなことを思ったとたん、清水に刺された左肩から二の腕が悲鳴をあげた。

痛み止めが切れたのだろうか?

(だ、誰か…)

宏美が声をあげるために唇を開いたその瞬間、病室のドアが開いた。

そこに入ってきたのは、
「――心美…?」

心美だった。

「――宏美…?」

自分の名前を呼んだ心美は制服ではなく、私服姿だった。

「宏美、起きたの…?」

呟くように聞いてきた心美に、
「ああ、たった今…」

宏美は答えた。