「１回死にかけたんだ？」

そう聞いてきたモアイ像に、
「まあな」

宏美は答えた。

「でも、助かってよかったな」

「心美に自分の気持ちを伝えてから死にたいって思ったからかな？」

宏美はそう言い返すと、クスクスと笑った。

「それでなんだけど…その清水って言う女は、どうしたんだ？

彼女を逆恨みしたうえに殺傷事件まで起こしたから、学校に残っていたとは思えないんだけど…」

言いにくそうに質問をしてきたモアイ像に、
「あんたの言う通り、清水は俺が退院した時には学校からいなくなっていたよ。

表向きは父親の仕事の都合でやむを得ず転校したって言うことになってるけど、誰から見てもその事件が原因での転校だって言うことはあきらかだった」

宏美は嫌な顔を見せずに、淡々とその質問に答えた。