肩から二の腕に激痛が走っている。

「宏美、しっかりして!」

叫んでいる心美は泣いていた。

「――あっ、あっ…」

清水はパクパクと鯉のように唇を動かしている。

「何をやっているんだ!?」

そこへ見回りにきていた教師が現れた。

「お、おい…」

ケガをしている宏美と泣いている心美、血のついたカッターナイフを持ってパニックになっている清水に、教師は驚いていた。

「きゅ、救急車!

誰か救急車を呼べ!」

何事かと言うように、自分たちの周りに次から次へと人が集まってきた。

「宏美!」

心美がハンカチを出して肩から流れている血を止めようとしていた。

青地に花柄のハンカチが真っ赤な血に染まって行く。